1 | セリサイト | ||
別名「絹雲母」。わが国には産しない白雲母と同一の鉱物特性を有する。
流紋岩、石英安山岩あるいは花こう岩などが高温度の熱水により変質してできる。
結晶の形が麟片状、六角板状、短冊状などの薄い被膜状で、色調が銀白色で特有の輝きを有する。
わが国では、島根県の花こう岩に伴うものが代表的な産地で、他にはグリーンタフ地域の黒鉱鉱床にも随伴的に産する。
奥出雲のセリサイトは、鉱量が膨大であることや結晶構造が独特で結晶形が大きいなどの特性がある。
代表的な産地は、斐川鉱業・鍋山鉱山、井儀鉱山、および吉田鉱山など。 |
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2 | ベントナイト | ||
モンモリロナイトを主成分とする粘土の総称。
他に石英、クリストバライト、ゼオライトおよび長石などを含有し、粘性や膨潤性さらには高い陽イオン交換能を有する。
ゼオライトと同様にグリーンタフ地帯に産するが、島根県も主要産地の一つである。 |
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3 | ゼオライト | ||
別名「沸石」。主に流紋岩や石英安山岩などが低温の熱水により変質してできた鉱物。 成分はSiO2、AL2O3、Na2O、CaO、K2O、H2Oなどで、その含有量比により多くの種類に分かれる。多量の水分を保有し、その脱水物は大きな空隙を有するために陽イオン交換能やガスの吸着能力あるいは吸湿作用などが高い。わが国のグリーンタフ地帯に産し、島根県もその代表的な産地である。合成ゼオライトの利用も盛ん。 |
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4. | ろう石 | ||
主に流紋岩や安山岩が酸性の熱水により変質してできた“ろう感”を有する岩石。 葉ろう石(アルミナに富むケイ酸塩鉱物)を主成分とし、他にダイアスポア、コランダム、ディッカイト、カオリン、明ばん石、セリサイト、石英などを伴う。中国地方の特産で、広島県勝光山、山口県阿武、岡山県三石、兵庫県越知谷などが代表的。 |
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5 | カオリン | ||
(耐火粘土)矢野馬木(横田町):鰹沍山鉱業所 |
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6 | 陶石・陶土 | ||
7 | 珪砂 | ||
粘土などと混じった天然物と、珪岩や珪石を砕いた人工物がある。以下は前者三子山(みつごやま)および第三三子山(温泉津町):兜Z屋 温泉津(温泉津町):潟gウチュウ(珪砂) |
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8 | 珪藻土 | ||
珪藻化石の集積層。この化石は無数の微細な孔に覆われるのでろ過剤や充填剤に利用。 |
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9 | ペグタイト | ||
花こう岩マグマの残液や揮発性成分からできた石英や長石結晶の集合体。馬谷城山(益田):西日本鉱業鰍ナは1mの石英大結晶を産する。 |
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10 | たたら・砂鉄 | ||
鳥上羽内谷(横田町):活タ来製作所 |
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11 | 石材・砕石・山砂・川砂 | ||
12 | 金・銀・銅・鉛・亜鉛 | ||
石見銀山(同和鉱業)、鰐淵鉱山(昭和鉱業)、島根石見(大田市):石見鉱山梶A石見鹿谷(日原町・津和野町):有田茂(日原町) |
島根県鉱業の特性(伊藤 瑞章) | |
今から約400年前、石見銀山において徳川家康は、今日の鉱業権に該当する三例53ヶ条を発布し、鉱業の基礎技術を確立して、日本における地下資源開発の基礎を作り、全国に普及した。また、灰吹き法の技術を30数山に数えて、大量の銀を世界に供給し、日本が資源の宝庫である事を広めた。石見銀山はまさに近代鉱業発祥の鉱山である。 その後、本県は優秀な鋼の生産県となり、また、石膏の大量生産県ともなった。戦後には、昭和22年、益田の奥で、私が発掘指導をしていた頃産出したペグマタイトは特筆すべきもので、石英結晶の直径は1.52mもあり、さらに2mのものも産出した。またこれに匹敵する大きさの長石も産出した。まさに世界一の巨晶である事は間違いない。これらは窯業原料として用いられたが、かような巨晶は特別な性能を持つ事も考えられるので、別の視点からの研究価値がある。斐伊川の上流には、マグマから直接できたセリサイトに近い結晶の微細鉱物が大量に埋蔵していて、その特性を発揮して日本の鉄鋼・造船を世界一とした。また最近では、高層建築、橋梁、各種遮断剤、樹脂複合剤などに特性を発揮し、海外にも輸出されている。このような成因の鉱物は、今後地球上で発見される可能性が低いと多くの学者が言っている。その他にも本県には、優秀な天然珪砂や他県に無いカルシウムベントナイト、さらには大量のゼオライトなどの21世紀鉱物が埋蔵されている。 |